Up 「適応」の語のミスリーディング 作成: 2019-09-12
更新: 2019-09-12


    ひとは,「進化」を「適応」で理解しようとする。
    キリンの首が長いのは,食べたい葉が高い木の枝にあったからだ──キリンは木が高いことに適応した」──といったぐあい。
    これは「首伸ばしを世代を重ねて続けると,首が伸びる」という理解であり,「進化」を根性論で理解するというものである。

    「進化」のメカニズムは,「淘汰」である。
    「適応」ではない。
    「進化」の論述において,「適応」の語は出る幕がない。

    ひとは,根性論が好きである。
    心性と無縁な事物にも心性を投影する (「アニミズム」)。
    以前,「水においしくなれと語りかけるとおいしくなる」論が流行り,これを教える小学校も現れた。
    植物にやさしく語りかけると花をきれいに咲かせて応える」論などは,いまも元気である。

    かくして,「適応」の語はかんたんにミスリーディングになる。
    注意すべし。