Up 「不生不滅」─「系統」 作成: 2019-07-13
更新: 2019-07-13


    ひとは存在を「個」で思う。
    個で思うから,「一生」を立てる。
    始まりと終わりを立てる。

    しかし,存在は連続している。
    切れ目がない。
    絶えたように見える存在は,形を変えただけである。
    存在には,生も死もない。

      『般若心経』の「不生不滅 anutpannā aniruddhā」は,これである。
      実際,ブッダが説いたのは存在論である。
      「色即是空空即是色,不生不滅」の存在論に至って自分が救われたので,ひともこれで救われるのではないかと思って,ひとに説いて回ったわけである。
      特に,ブッダは,後代の宗教としての仏教──「あの世」を創作して「あの世で救われる」を説く宗教──とはまったく無縁の者である。


    かくして存在は時空存在であり,「系統」がこれを言い表すことばになる。

    存在論は,現前 presence を述べるとき,「個」を述べる趣になる。
    しかし述べているのは,系統の端点である。
    始まりを終わりを思うところの「個」ではない。