Up 空観 : 要旨 作成: 2019-05-29
更新: 2019-05-30


    「要素還元」の考え方は,要素溯行にストップをかけられなくなる。
    そこでこれに「空」で蓋をする。

    この場合「有無の分かれ目」が問われることになるが,その問いはうっちゃる。
    実際凡人は,この種のごまかしをむしろありがたがってくれる。
    「有無の分かれ目は?」の問いを,これをもつのは愚かのためだとして,自ら引っ込めるのである。


    「イデア」の考え方も,上とは別のタイプになるが,空観を導く。
    実在するのはイデアであるが,それは見えず触れないものということになるからである。

    この空観は,別世界を立てる(てい)になる。
    存在の問いに蓋をするのに,別世界を立てるというわけである。
    凡人は,この種のごまかしもありがたがってくれる。
    「別世界はどこにどんなふうに?」の問いを,これをもつのは愚かのためだとして,自ら引っ込めるのである。


    科学は,「有無の分かれ目は?」「別世界はどこにどんなふうに?」の問いをごまかさない立場である。
    科学の立場は,反照的に,哲学/思想の思考停止の形を明らかにする。