Up 競合最小化 作成: 2019-09-15
更新: 2019-09-15


    スポーツ競技は,競技者にランクをつける。
    即ち,団体競技だと「一部リーグ・二部リーグ」のようにチームにランクをつけ,個人競技だと「世界ランキング 25位」のように個人にランクをつける。
    これは,勝負の結果が最初からわかるような対戦──無駄な対戦──を組まないために導入される。

    競合する者が集まれば,優劣のランキングの形成に自ずと進む。
    優劣導入の意味は,対戦の最小化である。


    優劣は,勝負の仕合でつける。
    しかし,仕合形式が立たないジャンルがある。
    この場合,彼らはグループ分けに進む。──党,組 (ファミリー),派 (セクト),‥‥‥。
    グループ導入の意味は,《グループの中では対戦しない》であり,対戦の最小化である。

    かれらは,グループ間抗争を,攻撃本能発散の方法にする。
    しかし,これは泥仕合になる。
    彼らは,グループ間抗争が泥仕合になることを悟り,これをやめる者になる。

      人文科学は,分派を形成し,他派批判 (攻撃) をやり,これが消耗戦であることを悟り,自派の自閉へと進む。
      こうなるのは,勝負の仕合形式が立たないからである。


    ひとは,攻撃本能を自制する者へと成長する。
    翻って,子どもは攻撃本能を自制できない者である。
    学校の教室は,このような者たちの生態系になる。

    ここに,どのグループにも属そうとしない者,ないしどれかのグループに属し損ねた者がいる。
    彼らは,格好の攻撃対象になる。
    こうして,特定グループによる (あるいは,さらに教室あげての)「いじめ」となる。

    「いじめ」は,教室生態系における競合最小化システムの実現である。
    競合最小化システムの実現は生態系の含意であるが,あるタイプの教室では「いじめ」が競合最小化システムになるというわけである。
    「いじめ」が無くならないのは,そのタイプの教室がごく一般的なものになっているからである。