Up 生滅 作成: 2019-09-04
更新: 2019-09-04


    鍋の湯の沸騰──泡の生滅
    海辺に寄せては返す波──波の生滅
    社会──員の生滅

    これらが示す「系の定常」は,動的定常である。
    「動」の中身は,個の生滅である。
    生と滅の全体での均衡,これが定常の内容である。

      系は,個の生滅の全体的均衡として定常であるか,その定常が壊れるかである。
      このことに<いい・わるい>は無い。,
      一方ひとは,正義の味方になった気分で,「持続可能性」とか「生態系の保全」を唱える。
      これは独り善がりなのだが,そのことがわからない。
      実際,唱えていることは,現カーストの保守に他ならない。
      生態系は,場所が空くのを待機している者たちがひしめいているのである。


    生と滅の間は「成長」ということになる。
    成長は,滅をこれのピークと見なすことになる。
    成長と滅の間に「衰え (自壊)」を措きたくなるが,成長から滅までは連続の相で見る他はない。

      ひとは,「生きる意味・目的」の題で,成長のピークを考える。
      そしてこれを,社会の員の構えでやる。
      社会も,員に対し,生きる意味・目的を立てこれを教示しようとする。
      このとき立てられる意味・目的は,個が生きられるための方便であり,系が保たれるための方便である。
      方便は方便に過ぎない。
      ひとは「生きる意味・目的」で悩むことになる。
      これを「煩悩」と謂う。


    成長が<滅をピークとする成長>であるとは,どういうことか。
    それは,成長が<自壊を以て閉じられる拡大スパイラル>だということである。
    ──ここで「拡大」は,「一方向」の意味。

    拡大スパイラルのダイナミクスは,「正のフィードバック」である。
    拡大が止まらない相で成長する個は,やがて自重で倒れることになる。