Up 存在論 作成: 2018-06-29
更新: 2018-06-29


      『古事記伝』「書紀の(あげつら)ひ」
    漢籍心(カラブミゴコロ)を清く洗ひ(サリ)て、よく思へば、天地はただ天地、男女(メヲ)はただ男女、火水(ヒミヅ)はただ火水んて、おのおのその性質情状(アルカタチ)はあれども、そはみな神の御所為(ミシワザ)にして、然るゆゑのことわりは、いともいとも奇霊(クスシ)微妙(タヘ)なる物にしあれば、さらに人のよく測知(ハカリシル)べききにはあらず
    然るを漢国人の癖として、己がさかしら心をもて、萬の理を強(シヒ)て考へ求めて、此ノ陰陽といふ名を作リ設ケて、天地万物みな、此理の外なきが如く説(トキ)なせるものなり。