Up はじめに 作成: 2016-08-07
更新: 2016-08-07


    物理学は,真理の定立をゴールにする。
    そして,「真理」の形を「原理・法則」に見なす。

    「原理・法則」の条件は,論理的整合性である。

    「論理的整合性」の証明は,<公理からの推論規則による演繹>である。
    そこで,物理学は,<公理からの推論規則による演繹>を実現する理論体系をつくるものになる。
    「原理・法則」の探求は,公理主義の趣きになる。

    この物理学は,定理が「真理」のことになる。
    そこで,論理整合的理論をつくれることが,「真理」に到達するということである。


    実際には,「論理整合性」は「真理」とは無関係の概念である。

    数学は,論理整合的体系を構築する営みである。
    数学の定理は,「真理」とは無関係である。

    「論理整合性」と「真理」が無関係なことは,理論が「無限」を扱うとき,はっきりしてくる。
    無限の話は,ウソとかホントとかが言えないことだからである。
    例えば,「無限」の論法を用いて,正方形の内部を埋め尽くす曲線を構成することができる。
    これは,数学の話 (数学の屁理屈) として受け取るものであって,「ウソかホントか」というふうに考えるものではない。

    物理学は,この数学の場合と同様になる。
    物理学の謂う「真理」は,「ウソかホントか」というふうに考えるものではない。
    物理学の謂う「真理」は,物理学が現時点で構築している演繹体系において定理となる言明のことである。


    こういうわけで,物理学は,あるところからは,外部者にとって「勝手に言ってなさい」「勝手にやってなさい」の世界になる。
    ──「統一理論」「超弦理論」などは,この類になる。