Up 反抗 作成: 2020-02-22
更新: 2020-02-22


    外れ者は,これもひとつの立派な個性である。
    しかし,規則遵守を自分の人格にしているタイプの者は,外れ者を<更生のための社会的救済が与えられるべき者>と定める。
    外れ者を「弱者」「発達障害者」と言い直したりして,「自分は彼らの味方」と思い上がる。

    ひとを「救済」「更生」させることを自分の使命のようにしているこのおせっかいな(たち)の者たち──実質,<規則遵守を強いる>を率先して行動する者たち──は,「篤志家」とか「教育者」と呼ばれ,善い人の意味になる。
    外れ者は,彼らのおせっかいによって,さらに生き方を苦しくさせられる。



    こうして,篤志家・教育者を寄せ付けないようにすること──とりわけ教育者を寄せ付けないようにすること──が,外れ者が自分を保つために行うことになる。
    方法に大きく二つある。
    「引きこもり」と「ワル」である。

    「ワル」の意味は,「更生の見込みがない」である。
    「更生の見込みがない」と認められれば,教育者は自分に近づかない。
    「引きこもり」は<ひとから逃げる>ストラティジーで,「ワル」は<ひとを退ける>ストラティジーである。

      自然の摂理として,外れ者は一定割合で存在する。
      学校は,生徒の一定割合が外れ者である。
      外れ者は,「引きこもり」「ワル」のどちらかのストラティジーをとる。
      学校は,業務の一定割合が,引きこもり生徒対策とワル生徒対策である。


    「ワル」は,偽悪である。
    反抗は,世の中の偽善に偽悪で対抗するというものである。

    偽悪は,世の中がこれを許している間のいのちである。
    そして偽悪を持ち堪えるのはそれだけでもたいへんであるから,偽悪はたいてい,やっつけられるより先に自滅する。