Up 「過激」 作成: 2020-04-13
更新: 2020-04-13


    正義は,「悪を退治する」になって,殺人に向かう。
    虚無 (「神は死んだ」) は,英雄(超人)主義の「すべてが許されている」に転じると,殺人に向かう。

    カミュは,この2タイプの「殺人的」を,「過激 démesure (excess)」のことばで主題化する。

      Camus (1951), pp.255,256.
    革命の過誤は、人間性から分離することができないと思われるあの限界、反抗が正しく示しているあの限界をまったく知らないか、あるいは故意に誤解しているかによって起ったのである。
    この境界を無視するが故に、虚無的な思想は、結局一様に加速度のついた運動の中に突入してしまう。
    そのもたらす結果については、止めだてするものは何もない。
    そこで完全破壊や無限の征服を正当化してしまう。

      同上, pp.258.
    純粋にして単純な徳は、殺人的なのである。
    またあらゆる現実主義には道徳的要素が必要で、シニシズムは殺人的である‥‥‥

      同上, pp.261.
    精神の陶酔状態は、過激のめまいか、不可能への気違い沙汰 ‥‥‥



    引用文献
    • Camus, Albert (1951) : L'Homme révolté, Librairie Gallimard, 1951.
      • 佐藤朔・白井浩司 [訳]『反抗的人間』, 新潮社, 1956.