Up 反-精神主義の方法 : 要旨 作成: 2020-03-23
更新: 2020-03-23


    精神主義の倫理主義は,「悪の粛清」を含蓄する全体主義である。
    この全体主義は,退けるものである。
    <元の木阿弥>が結果でしかない破壊の果てに自壊するものだからである。──ならば,はじめから退けておいた方がよい。

    精神主義を退けることは,思うほど簡単なことではない。
    スタンスは,科学である。

     註: 精神主義批判の墓穴は,精神主義批判が精神主義になってしまうことである。


    倫理主義批判の形は,「個性・立場の多様性」の立論である。
    倫理主義は,特定の個性・立場に偏していることになるからである。
    考え方・行動の仕方は,人それぞれである。
    そして,立場によってころころ変わるものである。

    「個性の多様性」の観点からの倫理主義批判では,「精神障害 (狂気・発達障害)」や「犯罪」を引用するのが常套になっている。
    理由は,これらが倫理の立つ瀬の無くなるところだからである。

    しかし,「倫理の立つ瀬が無くなるところ」を言い出すならば,引用先は何か特別なものである必要はない。
    即ち,<生業(なりわ)う>が既に,倫理の立つ瀬が無くなるところである。
    <生業う>は,《自分が生き残るために犠牲を求める》を骨格とし,状況に合わせてこれに内容をつけるものだからである。
    「立場の多様性」は,特にこのことを謂うものである。


    「個性の多様性」の説明は,「脳生成」である。
    脳は,自己組織化する系である。
    自己組織化の契機は,個体が遭遇する事物である。
    「偶然の統合」といったものになるこの脳生成は,個体によってバラバラなものになる。
    一方,偶然の確率に高い・低いがあるため,いわゆる「通常・異常」の別が現れる。