Up | 「全体主義」は物理的規模の話ではない | 作成: 2020-03-25 更新: 2020-03-25 |
全体主義は,物理的規模の話ではない。 論理的外延が全体になる主義が,全体主義である:
Wを全体集合 (「人全体」) とする。 このとき,A= { x ∈ W | x はP } が,Pの外延である。 全体主義は,「条件Pに対する全体主義」のことで,A=W (「人はみな花が好き」) とするものである。 A=W (「人はみな花が好き」) を立てる全体主義者は,P (「花が好き」) を「正義」に見立てる者である。 いまPを正義とする体制が立ったとする。 個は多様であるから,A=W (「みな花が好き」) とはならない。 この主義に不適応となる者が存在する:WーA ≠ φ しかも,<不適応者>は「少数の者」を意味しない。 例えば「国論二分」というのがあるが,これは,多数決の勝敗がつけば全体の半数が<不適応者>になる場合である。 しかし全体主義者においては,「正しい者はみな‥‥」である。 全体主義者にとって<不適応者>は悪である。 全体主義者は,悪が伝染したり体制に反逆したりすることがないよう,彼らの粛清を行う。 「善悪」を立て「正しい者はみな‥‥」の形の命題を立てるのが,「倫理」である。 かくして,倫理を立てることは,全体主義とイコールである 繰り返すが,全体主義は物理的規模の話ではない──論理的外延が全体になる主義が全体主義である。 よくよく吟味すべし。 |