Up 「誠実」 作成: 2020-05-22
更新: 2020-05-23


    「己は誠実の側につく」主義がある。
    これは,「誠実 vs 不実」を立てる精神主義である。

    「誠実」の場面は,ゲームである。
    「誠実」は,「与えられたゲームを誠実に務める」である。
    ゲームは,約束事である。
    「誠実」は,「約束事を誠実に行う」である。


    「誠実不実」は,ひとまず「善悪」とは別モノである。
    実際,悪事を仕事にしている組織の員は,悪事を誠実に行う者である。
    「誠実」は,ゲームの外では通用しない。

    しかし「ゲーム」の視点に立てば,「誠実」と「善」の違いは守備領域の広さの違いでしかなくなる。
    「善」は,己を「普遍的」と定める精神主義である。
    翻って,「善」は,世界を守備領域にしてしまった「誠実」である。
    こうして「善」は,「誠実」の特殊という捉えになる。


    「誠実」は,ゲームの中で葛藤することになる。
    「誠実」を行うのは,生身の人間である。
    「誠実」は,生身の保守と矛盾する。

    「誠実」は,畢竟ただのことばである。
    「誠実」の精神主義は,ことばである「誠実」をリアルにしてしまう。
    おおもとで間違っているわけであるから,これはリアルの中でつねに矛盾する。
    「誠実」の葛藤は,ただのことばに蹂躙されている様である。


    始まったものが生き延びる形は,<進化>である。
    <進化>の形をとらないものは,終わるものである。
    「誠実」の精神主義は,後者である。

    「誠実」の精神主義の終わり方は,2通りになる:
      a. 自壊
      b. 外が容認しないものとなり,外から潰される

    自壊も,2通りになる。
      a1. 葛藤を持ち堪えられない個が,精神崩壊する
      a2. 仲間割れ