Up 「生活」の意味 作成: 2018-04-05
更新: 2018-04-05


    「生活」の意味は,各種生物の営みがこれを示す。

    いまの生物は,一つの生命体に溯る。
    生物の歴史は,生物の進化史である。
    そしてこの中で続いてきたものは,「生命」の意味の継承である。

    「生命」の意味は単純であり,それは「自己増殖」──<自分のクローンをつくる>──である。
    生物のいまがあるのは,<自分のクローンをつくる>が継がれてきたからである。


    「生活」の意味は,「<自分のクローンをつくる>への到達のためにする営み」である。
    ミノムシはミノガの幼虫のことであるが,蛾の形になるのは雄の方である。
    雌は,イモムシの形のまま蓑の中に棲む。
    そして,雄がやってきて,生殖が成り,<自分のクローンをつくる>が果たされる。
    われわれの感覚からすると,自分の DNA を残すだけの何とも味気ない一生のように思えるが,これが生物というものであり,生活というものである。


    <自分のクローンをつくる>は,利己行為である。
    よって,個は互いに争うことになる。
    <自分のクローンをつくる>においては,可能なことはすべて許される。
    生物は,利己で生きる存在であり,可能なことはすべて己に許す存在である。

    そこで,生物に「救い」を考えることはナンセンスである。
    人間も同じである。
    「救い」とは,宗教のように根底的に考えるものではない。
    根底的に考えれば,自家撞着する。
    「救い」とは,プラグマティックに考えるものである。

      実際,宗教の意義は,「救い」ではなく,「治安」──「良民をつくる」──である。
      今日,道徳教育が学校教育 (含: 大学) の必修になっているのは,「良民をつくる」を担当するところが無くなったからである。