Up 禅 :「空」観を以て自足自閉 作成: 2018-04-08
更新: 2018-04-08


    禅は, 「空」観を以て自閉する。
    「只管打坐」などを言うわけである。

    この自閉は,《自分の中にすべてがある》とする立場である。
    こうして,世界を先取する。
    この世界先取は,アニミズムと同型である。
    「空」観が宗教になる所以である。

    かくして,科学と対比したときの「禅」の特徴づけは,「自足+自閉」である。

    この特徴づけは,科学の時代にひとが禅に向かう理由を説明する。

    社会は,ひとを疲れさせるところである。
    その社会が科学万能で回っているように見えるとき,科学はひとを疲れさせる。
    ひとは,社会に,そして科学に,疎外される。
    そしてこのとき,彼らは「原始的自給自足」に憧れることで癒されようとする。
    このアニミズム的「自足+自閉」願望が,禅の「自足+自閉」と重なる。
    こうして禅が彼らを惹きつけるものになる。


    「自足+自閉」にも,それ固有の「学力」というものがある。
    禅の学力は,これである。
    その学力は,禅の文献,禅のガイド書等に顕れている。
    本論考が禅を主題にするのは,教育学的関心からであり,この関心の中に,「自足+自閉」の学力を同定しておきたいというのがある。