Up 科学 :「自己組織的生成」観を以て自然探究 作成: 2018-04-08
更新: 2018-04-08


    科学の実験・観察は,「法則」に至るためである。
    その法則は,結局,生成の法則である。
    科学は,物事を「生成」として捉えようとする。

    自然の科学は,複雑系の科学になる。
    このときの「生成」は,「不可逆的自己組織化」をダイナミクスとするものになる。

    例えば,生物進化。
    アリの生態の「社会性」は,現前のアリを調べてもわからない。
    「自己組織化」──様々な系の複雑な絡み合い──の歴史の所産だからである。

     註: 現前から歴史を導くことはできない。
    共時と通時は,次元の違うものだからである。


    「自己組織化」とは何か。
    「量から質への転換」ということばがある。
    その意味は,「個の集まりは,自己組織化して,全体で一つの<個>の相を現すようになる」である。
    これは,「スケールは質に転換する」とも言い換えられる。
    実際,存在は階層構造を現す。
    スケールが変わると存在が変わるのである。

    こうして,科学は「存在の階層構造の探究」の趣きになる。
    探究の相手は,膨大である。
    探究は,手分けして行うものになる。
    そしてその<膨大>が<際限のない膨大>であるために,科学は際限なく「分科」をつくっていくのが定めとなる。