Up 「林」とは何かのそもそも論 作成: 2025-03-18
更新: 2025-03-18


    林には,つぎの2つがある:
    • 自然林
    • 人工林

    人工林には,つぎの3つがある:
    • 自然林を模した林
    • 防御壁としての林
    • 林業の林

    「自然林を模した林」とは,「自然公園」 「森林公園」 の名を冠する林の類。
    「防御壁としての林」とは,防風林・防砂林・防潮林の類。
    そして「林業の林」は,作物として木を育てている林である。


    林業の林は,木の畑である。
    農業の畑では,雑草を除き,そして作物に対し間引き・摘芯を施す。
    林業の林も,これと同じ。
    間伐し,そして育てる木に対し間引き・枝払いを施す

    北海道の美瑛の畑や富良野の畑は,観光地になっている。
    ひとは,癒されようとして,そこに行く。
    なぜ畑が?
    ひとが癒される植物の植生は,畑くらいがちょうどよいからである。
    自然の草原は,ひとにとって恐いだけになる。,

    林も,これと同じ。
    木の畑が,「林に入って癒される」の林になる。
    少し自然っぽくなると,もう恐いだけになる。


    木の畑の木は,自然に生えている同種の木と比べて,異形のものである。

    木の畑の木は,速成するよう,ストレスになるものが除かれる。
    この結果,木は(やわ)な体に成長する。

    木の畑の木は,製材に適うよう,幹が真っ直ぐ伸びる形に整えられる。
    自然の木は,枝を増やし横に拡げる。 それは,葉を十分に持てるためである。
    その枝が,木の畑では伐られる。
    木の畑の木は,葉の量が絶対的に少ない。

    貧栄養で真っ直ぐ伸びるそれは,「ひょろひょろ伸びる」の(てい)である。
    自然に生えている同種の木とは,見違えるものになる。


    地面の下は見えていないが,根の張りも小さい。
    土砂崩れ災害はたいてい人工林の土砂崩れであるが,こうなるのは,間伐によって地表がサバク状態になっていることに加えて,根の張りが小さいことによる。

    また,柔な体で貧栄養なので,抵抗力が弱い。
    蟲や菌類にやられやすい。

    ただしこれらの特徴は,木の畑が悪いということではない。
    木の畑は,まさにこういう木を育てようとするものなのである。
    木の畑の大事は,コスパ。
    そして,コスパを追求した結果が,現前の木の畑というわけ。