Up 芽吹きの時期の意味 作成: 2025-04-17
更新: 2025-04-17


    北海道の落葉広葉樹は,芽吹きの時期が遅い。
    低木は4月,高木は5月。

    遅い理由は,寒冷気候。
    芽吹きで出てくる幼い葉・花は,寒さに弱い。
    芽吹きの時に寒波が来て芽吹きが全滅することにでもなれば,その年は休業で過ごさねばならない。
    休業できる体力がなければ,死ぬのみ。
    こういうわけで,北海道の落葉広葉樹にとって芽吹きはハイリスクなのである。


    低木の芽吹きが高木より早いのは,高木が葉を繁らせたら,日が当たらないからである。
    高木が葉を繁らせる前に,できるだけ早く成長・交配を果たさねばならない。

    芽吹きを早くしている低木は,一定確率で冷害に遭うことを覚悟していることになる。
    低木は,この覚悟を,体のつくりに表すことになる。
    即ち,芽吹きに失敗しても更生できる体につくっている。
    それは,粗末な体につくるということである。


    自然災害で家が壊れることは,家が段ボールハウスだったら,気にするものではない。
    すぐに建て直すだけのことである。
    しかし,数千万円かけて建てた家は,そうはいかない。
    処分して,他の所に移動して生活をやり直すことになる。
    立派な家は,壊れたらそれでお終いなのである。

    そこで,つぎの二択になる:
    1. 立派な家に住み,防災に努める
    2. 被災を想定内にして,粗末な家に住む
    ちなみに,ブッダは王宮を出て乞食になったが,これは a から b への転身である^^

    落葉広葉樹のはなしに戻すと,低木は b を生存戦略にするものであり,高木は a を生存戦略にするもの。
    そもそも,背の低い・高いも,生存戦略の違いの表現になっているわけである。


    高木は,低木より圧倒的に数が少ない。
    これは,高木の生存戦略 (「防災に努める」) がもともと無理なためである。
    現前の高木は,運に恵まれた者たちなのである。


04-17 現在の冬芽/芽吹き状態:

カシワ



ミズナ



クリ



カンボク



エゾニワトコ