Up 北海道の自然林──針広混交林 作成: 2025-04-16
更新: 2025-04-18


    北海道の自然林は,常緑針葉樹と落葉広葉樹の混交林である。
    北海道の広葉樹は,なぜ落葉広葉樹か?
    常緑針葉樹は,なぜ落葉を択らないか?


    樹木は,その中に蒸散流の水道を通している。
    広葉樹の水道は「導管」,針葉樹の水道は「仮導管」。
    水道は,広葉樹の方が太い。
    広葉樹は「太く短く生きる」タイプで,針葉樹は「細く長く生きる」タイプ。
    このタイプの違いが,水道の太さの違いに表れている。

    北海道は,冬は土壌が凍結する。
    樹木は,根から水を吸うことができない。
    よって,水道が止まった状態で越冬することになる。

    水が届かない葉は,無用である。
    無用なだけではない。
    水の届かない葉をそのままにしておくことは,光合成を「空焚き」することであり,葉を壊してしまう。
    ということで,葉は冬に入る前に速やかに落としてしまうものなのである。

    では北海道の針葉樹は,なぜ常緑でいられるのか?
    そもそも樹木には,なぜ常緑と落葉の2タイプがあるのか?
    これは,コスト認識の違いである:
      落葉広葉樹 :「落葉のコスト < 落葉しないコスト」
      常緑針葉樹 :「落葉のコスト > 落葉しないコスト」

    北海道の常緑針葉樹が冬を越せているということは,光合成の「空焚き」にならない策を講じているということである。
    即ち,冬期は光合成の炭酸同化システムを休止させていることになる。る。


    越冬の樹木は,水道に水が流れていないことになる。
    土壌は凍って,根から水は上がって来ない。
    そして水道水の滞留は凍害の元だから,樹木は水道の水抜きもやっていることになる。

    こういうわけで,越冬の樹木に対して「水道凍結」は主題にならない。
    しかし,「水道凍結」の論はある。
    ただし「空気の塞栓」がその内容になる:,
     「 凍結から融解になるとき,氷から水への体積減少は空気を吸引することになり,その気泡が集まると塞栓になる。。
    導管は,筒抜けの管なので,これが起こりやすく,そして致命的。
    仮導管は,導管と比べて細く,そして筒抜け構造ではない。
    塞栓ができても自ずとバイパスが通る。」

    この「水道凍結」は,「冬期の水道」の話ではなく,「季節外れの寒波による水道凍結」の話である。
    即ち,水道を水抜きしている冬期の樹木が対象ではなく,越冬前後の水道が流れている樹木が対象である。。


    備考:人工林
    北海道の人工林は,自然林を皆伐して,そこに落葉針葉樹のカラマツを植える。
    カラマツは,北海道自生種ではなく,本州からもってきたもの。
    家の建材,炭鉱の坑道支保材,製紙のパルプ材等々の需要に応えるため,成長が速いということでカラマツが大規模に植林された。
    今日は,産業構造の変化と,グローバル化による安価な木材・木製品の輸入によって,衰退の一途をたどる。