Up 屋久杉 作成: 2021-12-21
更新: 2021-12-21


      宮原ひろ子 (2014), pp.66-69.
     樹木を使って太陽の研究をする場合、できるだけ連続的に、またできるだけ昔にさかのぼってデータを取ることが重要になります。 その目的に一番ぴったりな樹木が屋久杉やブリッスルコーンパインという松の一種です。
    屋久杉の場合、樹齢が2000年を超える個体があるので、非常に貴重な研究資料になります。 これは、屋久杉の中心が約2000年前につくられたということですから、2000年前の宇宙線や太陽の情報がそこに残されていることを意味します。
     屋久島の場合、土壊の栄費が少ないために、成長の度合いが極端に遅く、1年に1ミリメートルにもならないほどの細い年輸を重ねていきます。 幹の外側のほうは、それよりもさらに年輪が細くなります。 そのため、2000年生きたとしても直径は2メートル弱にしかなりません
    日常で目にする切り株などで木の年輸を確認してみると、年輪の幅は1センチメートルかそれ以上にもなりますので、比較的太い木に見えても樹齢は100年もない場合がほとんどです。
    ですから、正確な年代で1年ごとに2000年分の情報が得られる屋久杉はとても貴重です。
    防虫効果や防腐効果を持つ樹脂が多く含まれていることが、何千年も長生きできる秘訣といわれています。  ‥‥‥
    江戸時代に伐採された巨大な切り株もあちらこちらに残されています。‥‥‥
    紀元前よりも昔にさかのぼることのできる木には、なかなか巡り会うことはできません。‥‥‥ 多くの場合、切株の中心がすでに腐ってしまっていて年輪がないのです。
    たとえば屋久島で一番長寿とされている縄文杉でも、樹齢こそ5000年を超えるかもしれないといわれていますが、裏側にまわってみるとかなりの部分がすでに腐り落ちてしまっています。
    細胞の分裂は木の皮のすぐ内側で行われていますので、外側の部分がある程度元気であれば生きていけるのです。  ‥‥‥
    屋久島を代表する重要な地層が、いまから7300年前に大噴火を起こした海底火山、鬼界カルデラの火砕流の層です。
    このとき火砕流が島中をおおったため、7300年以上生息している屋久杉はないだろうといわれています。 縄文杉の推定樹齢には諸説ありますが、7300年を超えるものがないのはそのためです。



  • 引用文献
    • 宮原ひろ子 (2014) :『地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか』, 化学同人 (DOJIN選書), 2014.