Up | 「大学院定員割れ」の実際 | 作成: 2009-02-13 更新: 2009-02-13 |
3次募集は,大学にとって<破格>行動である。 <破格>までもち出して対応しようとしている「定員割れ」問題とは,実際のところどんなものなのか? 先ずはこのところを押さえておく必要がある。 ここ数年の国立の大学院入学者数の推移を見てみよう。 教育分野の修士課程では,つぎのようになっている:
この表が示すことは,つぎの2つである: 「定員割れ」は,漸減傾向の結果として現れているのではない。 問題は,2008年度の落ち込みの意味である。 この落ち込みが構造的なものなら,この数字が以降も続く (漸減傾向に進む) と見ることになる。 2008年度の落ち込みの意味を特定するためには,いまは材料が決定的に不足している。 2009年度の数値,およびそれ以降をしばらくみていく必要がある。 いまできることは,「この間何か変わっていることは?」を考え,そしてこれを視点にして問題解釈のフレームがつくれそうかどうかを考えるということである。 「この間何か変わっていることは?」を考えてみると,つぎのものが挙げられてくる: 教職大学院は,2008 (平成20) 年度からの開設であり,2008年度入学状況はつぎのようになっている:
上の2つの表の2008年度の数値を足せば,例年並みを少し超える数値になる。 教職大学院の数値は,初年度ということで,各大学が相当努力してつくり上げたものである。 これを勘案すれば,例年並みの数値になる。 では,これまでの大学院入学実績が従来型大学院と教職大学院の入学実績に分かれ,今後この形で安定する──となるのか? 問題はそんなに単純ではない。 「二兎を追う者は一兎をも得ず」のモーメントを計算しなければならない。 各大学の問題としては,地域性も要素として絡んでくる。 |