Up <破格>発生の構造 作成: 2009-02-08
更新: 2009-02-08


    破格は成り立たない。
    成り立たないことを見て取るのも,さほど難しくはない。
    しかし,破格は現実に発生する。
    なぜか?

    破格は,勝算があって行われるのではない。 <何かをやっている形>を無理矢理つくらねばならない者がいて,その者が<何かをやっている形>を無理矢理つくる。 無理矢理つくるから,それは破格になる。

    では,<何かをやっている形>を無理矢理つくらねばならない者は,どうして存在するようになるのか?
    評価システムが,この存在をつくる。

    評価システムは,やっているポーズを評価する。
    やっていることの意味・実質的内容は,評価しない。 意味・実質的内容の評価でないのは,意味・実質的内容を評価する能力/キャパシティーをもたないからだ。
    やっているポーズの方は,どうして評価できるのか?
    <やっている・やっていない>の二値になるからだ。


    国立大学の「法人化」で,大学執行部は,「大学評価」の点数が低くならないよう振る舞うことを仕事とする者になった。
    「法人化」は,もともと筋の悪い──よりはっきり言えば,見当違いの──プロジェクトである。 見当違いのものが「大学評価」の項目になり,この項目を埋める行動があったか・なかったかで,大学は評価される。
    大学執行部は,その項目を埋める行動を作為する。
    作為しなければならないから,作為する。
    行動の意味や勝算は,二の次三の次になる。


    こうして,国立大学は自分自身をおかしくしていく。