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定員割れと交付金の関係
作成: 2009-02-12
更新: 2009-02-12
大学院の「定員割れ」と「3次募集」の間をつなぐものは,大学に交付される「運営費交付金」である。 すなわち,大学執行部が「3次募集」をトップダウンするのは,つぎの思考回路による:
定員割れ
→ 運営費交付金の相当部分を返納
(中期目標・計画の相当部分の「失敗」)
→ こうならないために3次募集
返納のルールは,つぎのようになっている (
文科省「定員超過・定員割れに関する取扱いの概要」から引用
):
収容定員充足率が一定率を下回った場合,運営費交付金の積算のうち学生の受入に要する経費として措置している額のうち未充足分に相当する額を,運営費交付金債務のまま翌事業年度に繰り越し,中期目標終了時に国庫納付。
年度
学生収容定員に対する在籍者数の割合
平成16〜18年度
85%
平成19〜21年度
90%
国庫納付額 = (学生収容定員 − 在籍者数) × 学生一人当たり教育費単価
学生収容定員:中期計画の別表に掲げられた収容定員
在籍者数: 学校基本調査 (学生教職員等状況票 : 5月1日現在) による学生数
学生一人当たり教育費単価:
実収容定員が一人増加した際の所要額とし,
教育研究組織係数(運営費交付金の算定に用いる係数)に基づき
算出する。
参考:
文科省「国立大学法人運営費交付金算定ルールの概要」
基本的考え方
○
国立大学法人が、平成16年度の運営費交付金額を基礎として、平成17年度以降も、中期目標・中期計画期間を通じ、見通しをもって着実に教育研究を展開し得るよう、必要な運営費交付金を確保できるものとする。
○
自主性・自律性の向上という法人化の趣旨に沿い、国立大学の教育研究の特性に配慮するとともに、教育研究の活性化につながる内容とする。
算定ルール骨子
○
前年度における運営費交付金算定上の収入・支出予算を基準とし、諸係数等により平成17年度以降の運営費交付金を算出。
○
各大学の個性に応じた教育研究の取り組みを幅広く支援することなど、教育研究の活性化を図る観点から、運営費交付金を増額する「特別教育研究経費」の枠組みを設定。
○
効率化係数は1%としつつ、教育研究の基幹的な部分(設置基準に基づく専任教員数及び標準法に基づく附属学校教員数に必要な給与費相当額)を対象から除外。
I 学部教育等標準運営費交付金
学部教育等の教育研究費等について、学生数等の客観的な指標に基づく各大学に共通の方式により算出
[(一般管理費+学部・大学院教育研究費+附属学校教育研究+教育等施設基盤経費)− 収入(入学料収入+授業料収入)]
・一般管理費×α
・学部・大学院教育研究経費×
α
*
×β×γ
・附属学校教育研究費×
α
*
×β×γ
・教育等施設基盤経費×α
(収入)
・入学料収入(毎年度入学定員×標準額)
・授業料収入(毎年度収容定員×標準額)
*
設置基準に基づく専任教員数及び標準法に基づく附属学校教員数に必要な給与費相当額を効率化係数の対象から控除
II 特定運営費交付金
各大学における教育研究活動の実態に応じ必要な所要額を算出
[(学部・大学院教育研究費+附属学校教育研究費+教育研究診療経費+附置研究所経費+附属施設等経費)− その他収入 + 特別教育研究経費 + 特殊要因経費 ]
・学部・大学院教育研究費×α×β×γ
・附属学校教育研究費×α×β×γ
・教育研究診療経費×α×β
・附置研究所経費×α×β
・附属施設等経費×α×β
・特別教育研究経費(教育研究施設の新設、教育研究事業費、教育研究設備費等に対し当該年度において措置)
・特殊要因経費
(収入)
・その他収入(検定料収入、雑収入等)
III 附属病院運営費交付金
附属病院の一般診療経費及び債務償還金の合計が病院収入と収支相応していない場合に一定の条件で交付
[(一般診療経費+債務償還経費+特殊要因経費)−(附属病院収入)]
・一般診療経費
・債務償還経費
・特殊要因経費
(収入)
・
附属病院収入(前年度病院収入+16年度病院収入×λ)
*
予定された病院収入を上回る増収分は当該法人で使用
[その他、受託事業・寄付金収入等の外部資金は交付金算定に影響させない。]
【諸係数】
α:
効率化係数。△1%とする。(設置基準に基づく専任教員数に必要な給与費相当額等を対象から控除)
β:
教育研究政策係数。物価動向等の社会情勢等及び教育研究上の必要性を総合的に勘案して必要に応じ運用するための係数。各事業年度の予算編成過程において具体的な数値を決定
γ:
教育研究組織係数。学部・大学院等の組織整備に対応するための係数。各事業年度の予算編成過程において具体的な数値を決定。
λ:
経営改善係数。2%とする。16年度病院収入に係数をかけた額の増収を見積もる。