Up 大学院志願者数の低迷 作成: 2008-10-16
更新: 2008-10-16


    ここしばらく,大学院志願者数の落ち込みが顕著である。
    ( 北教大の大学院教育学研究科 (修士課程) 志願状況)

    大学院に入るとは,先が見えない生活に入るということである。
    これを支えるものは,向学心 (成長を志向する心)。
    翻って,向学心が萎える状況では,大学院に入ろうとする者はますますいなくなる。


    どのようなことをすれば,向学心を萎えさせることになるか?
    一つに,「資格」で釣ろうとすること。

    「資格」で釣ろうした途端,大学院は「資格取得の場」の意味になる。
    ところが,「資格」は役に立たない。 (人は「資格」で仕事ができるわけではないし,「資格」で信用を得るわけでもない。)
    「資格」の役に立たないことが露呈するとき,「資格取得の場」の意味になった大学院は,価値のないものになる。
    ──実際,これがいま「専門職大学院」で起こっている/起ころうとしている。 ( 北教大の大学院教育学研究科 (専門職学位課程) 志願状況)

    「資格取得の場」を自分の意味にしてしまったことで「価値のないもの」になってしまった大学院が,再び「勉学の場」の意味を取り戻すのは,容易なことではない。 ──信用を失うのは一瞬,信用を取り戻すのはゼロからのやり直し。


    「法人化」の国立大学は「成績優良者に対する報奨」を制度にするようになったが,これも逆効果である。 すなわち,「報奨」は向学心を萎えさせる。
    「報奨」が釣ろうとする向学心は,本当の向学心ではない。 実際,本当の向学心をもつ者は,「報奨」制度に対しては逆にそっぽを向く。
    ──「法人化」の国立大学は,「向学心とはまじめなものである」ということを理解しなければならない。( 社会から<向学心>が失われる)