Up 「強力なリーダシップ/寡頭支配」を科学する 作成: 2007-06-27
更新: 2007-06-27


    自分の政権の恒久化を図って,任期延長・情報操作をはじめとする自陣を有利にする法律づくりを,恣意的に進める。
    ──これをよその出来事 (例えば,アフリカとかユーラシアの国の出来事) として聞いたり見たりするとき,わたしたちはそれを未熟/低劣な精神文化によるものとして,軽蔑の念を抱く。 同時に,こんなことは,自分のところには起こらないと思う。こんなことが起こらない地に生を得て,幸いだと思う。

    しかし,法人化の国立大学における「学長派による学長任期延長や選挙方法自陣有利化の規則化」は,まさにこんな出来事である。
    しかも,教員の中からこれを行う者が現れ,そして彼らを支持する教職員が多数派を形成した。

    精神構造においては,国立大学は,自由主義・デモクラシーをいただく「先進国」よりもアフリカやユーラシアの「後進国」の方に近かった。
    このことが,国立大学の「法人化」で暴露された。


    従来「大学の権力的支配」は,サヨク系の言論で「悪党政治の陰謀」のように描かれるものであったが,国立大学のいまの寡頭支配は,教員の中から起こったものである。しかもあるところでは,彼らはサヨク的なスタンス (「正義のスタンス」) をとる者たちであった。

    したがって,いまの国立大学における「強力なリーダシップ/寡頭支配」の問題は,サヨク的なもの言いの「悪者」とか「愚者」の話で片づけられるものではない。
    いま彼らを批判する者も,立場が転ずれば同じことをする者であるかも知れない。


    自由主義・デモクラシーの立場は,寡頭支配を危険なものと見なす。
    組織に発生する癌のようにとらえる。

    国立大学にいま起こっている寡頭支配に対し,大学人はこれを正しく理解し,これに対処できるようにならねばならない。
    そしてそのために,「強力なリーダシップ/寡頭支配」を科学することが必要になる。
    「強力なリーダシップ」の名を用いた寡頭支配が現実になる条件は何か?
    寡頭支配の精神構造は?
    寡頭支配の病理は?
    ──が,研究されねばならない。