Up 目先のことをスピード感をもって 作成: 2007-07-27
更新: 2007-07-27


    質を高めるのは,時間がかかる。
    これに対し量は,要領次第で短時間で増やすことが可能になる。

    量パラダイムは,この要領を競う競争主義を招く。
    敵に遅れをとらない・敵を出し抜く」がストラティジーになって,この競争主義は短期成果主義になる。
    また,競争主義は組織構成員に向けては評価主義を招き,そしてこの評価主義も短期成果主義の理由になる。

    また,「量で量を呼ぶ」もストラティジーになる。 そしてこのストラティジーを使うときは,収益回収の回転率を高める行動様式に進む。

    また,量パラダイムは,「利益のために,基盤である質を犠牲にする」タイプの営利行動も生み出す。 ──他に向かうときは「ハゲタカ」,自分向かうときは「自傷行為」。
    このタイプの営利行動の場合は,構造的に,一つのやり方を長く続けることはできない。「目先のことの勝負で短期の成果を得る」「勝負する対象を短期間に取り換える」というストラティジーになる。

      「法人化」の国立大学は,大学評価制度に従う短期成果主義を受け入れてしまい,国立大学の根幹を切り崩す「自傷行為」をするものになった。


    こういうわけで,量パラダイムは行動にスピードを求めるものになる。
    量パラダイムの社会は,ひじょうに忙しく,そして忙しさを加速し続ける社会になる。
    この社会では,「質が勝負」の立場から質の向上に時間をかける行動様式が,駆逐されてしまう。

      「法人化」の国立大学では,国立大学の正道 (「質が勝負」) が邪道 (「短期成果の形作りが勝負」) によって駆逐される。