Up リストラ 作成: 2015-03-22
更新: 2015-03-22


    「法人化」は,「財政改革」(「構造改革」) の一施策である。
    「法人化」の国立大学は,「経営」と併せて「リストラ」の課題をもたされている。
    大学によっては,これがいちばんの変革になる。

    例えば,北海道教育大学の場合,現在教員養成課程を立てている3分校の「統廃合」が,今後しばらくはいちばんの課題になる。

    実際,「少子化」と「地方の人口減少」が重なって,教員需要数の著しい減少傾向が見えている。
    単に,生徒数の減少だけではない。
    これと併せて,小中高校の統廃合が進められる。

    近頃は,「小中一貫」が「統廃合」のうちに含まれてきた。
    「へき地」と呼ばれるところには,小中隣接のところがけっこうある。
    隣接でなくても,「小中一貫」は効率のよい「統廃合」になる。

    さらに,「40人学級復活」の案も出てきた。
    2015年度予算編成の財務省からである。
    「教職員が約4000人の減となり,義務教育費の国庫負担が約90億円圧縮」がこれの計算である。
    (この案は結局,撤回となる)。

    教員需要数の減少は,教員養成系大学・学部の教員過剰供給に裏返る。
    教員養成系大学・学部は,適正規模へ再編することが求められてくる。

    しかも,教員養成系大学は,安直に「大学全入時代」に乗ることができない。
    教員の質を落としてしまうからである。
    即ち,「大学全入時代」の大学は,大学相応のレベルの教育ができなくなる。
    ついてこれない生徒が多数になるからである。
    こうして,教員養成系大学は,教員需要数の減少に対しては,学生定員減で応じねばならない定めにある。

    学生定員減は,教員数減に連動する。
    ところで,小中高に見るように,学生数の減は教員数の減に直結しない。
    直結させないのは,「教科」である。
    学生数が減っても教科は減らせないわけである。

    しかし,行政もいろいろ考えている。
    「大学間遠隔授業」や「大学間単位互換」を示してきた。

    ここで行政が大学に指導しているものは,「教科融合・分野融合」である。
    このとき,大学院が論点に上ってくる。
    教員にとっては都合のよいことになるが,大学院のしばりによって,直ちに教科融合・分野融合とはならないのである。

    しかし,行政もいろいろ考えている。
    「教員養成系大学の大学院は,基本的に,教職大学院」を示してきた。
    「これに入らない部類のコースは,他の大学にあるから,重複する必要はない」というわけである。
    かくて,教科融合・分野融合の道が立った。

    そして,教員養成課程の分校を3つ並立する北海道教育大学の場合は,さらに3分校の統廃合を迫られることになる。
    大学経営陣にとって,統廃合の布石でいちばん大事となるものは,分校教授会の完全な無力化である。
    これは,行政が指導する「大学のガバナンス改革の推進」に乗る格好で,最近済ませたところである。
    かくて,分校統廃合の道が立った。

    統廃合は,移行期間が設定される。
    このとき,例えば「3→1」の統廃合だと,その1校が一時的に教員の水膨れ状態になる。
    そこでこれの準備として,前もって増築が行われる。
    最初は教員の研究室にあて,順次演習室・講義室に転用というシナリオになる。
    翻って,増築の動きは,統廃合起動のメルクマールになる。