Up ムード先行──「市場」の実際に思考停止 作成: 2010-10-18
更新: 2010-10-19


    日本経済は,難局に際して「中国頼み」に走る。 国内需要減少を,中国からの需要で賄おうとする。

    いま国立大学は,大学院の学生数が定員を大きく下回る状態にある。 「国内需要減少」の状況である。
    国立大学は,「中国頼み」に走る企業に倣って,「学生市場を海外に求める」の課題を立てる。 いまの大学は「国際交流センター」のような名称の部署を設けているが,ここが海外学生獲得の企画・営業部になる。

    「学生市場を海外に求める」は,<思いつき>である。
    <思いつき>からそのまま企画・施行へと進むのは国立大学の「法人化」施策ではいつものことであるが,「学生市場を海外に求める」もこのようになる。
    学生の海外獲得が自大学において成り立つことなのかどうか?」「これが成り立つための条件は?」から考えるのが順序であるが,これを閑却する。
    また,これとセットになっている「英語で授業」の制度化の場合だと,「この制度でどの程度日本人学生を失うことになるか?」の問題を閑却する。
    こうして,「学生市場を海外に求める」ありきから始めてしまうのである。

    そして,埋まりもしない箱物をつくることに邁進する。 ──「埋まりもしない箱物」の意味は,この場合,空回りする制度のことである。

    埋まりもしない箱物 (空回りする制度) は,「あってもなくても同じ」というものではない。 「これを抱えることが組織の重負担になり,組織をおかしくしていく」というものである。