Up 事例:教員免許更新制と更新講習 作成: 2007-06-26
更新: 2007-06-26


    今月20日 (2007-06-20) に,いわゆる教育改革関連3法 (学校教育法,地方教育行政法,教員免許法及び教育公務員特例法の各改正法) が成立した。

    このうちの教員免許法教育公務員特例法の改正により,今後つぎのようになる:

    • これまで終身制だった教員免許が,有効期間10年の更新制になる。
    • 期限前に30時間以上の更新講習を受け,修了を認定されることで,免許が更新される。
    • 校長・教頭,勤務実績が優良な教員は,更新講習が免除される。
    • 指導力不足と認定され,その後の研修でも改善されなかったとして分限免職処分を受けた教員は,免許失効となる。


    ここには,「更新講習」が重要な装置として位置づけられている。
    したがって,これの法制化は,本来つぎの研究・議論を経たものでなければならなかった:

    • 「更新講習」に実質的な働きはあるか?
    • 「更新講習」は実施可能か (費用対効果比的に成り立つものなのか) ?


    <現場にいて現場を知る者>の意見は,つぎのようになる:

    • 「多人数相手の30時間の講習 (=5日間座学コース) で<教員の指導力>判定」などナンセンス。 ── 実質的な講習など,立ち得ない。

        現に,法制化においては,免許更新可否の基準を示すこともできていない。

    • 「更新講習」は,費用対効果比的に成り立つものではない。



    しかし,素人考えの「更新講習」を,同じ素人で決めてしまう。
    「教員に対する信頼を確保するための厳格なシステムづくり」を謳いつつ,形骸化前提でなければ実施できない無理なプログラムをつくる。
    この無理は,研究と議論の中で明らかにされてくるものなのだが,この研究と議論をいまの行政は無用物/やっかいもの扱いして,無しにする。

    素人は,自分を素人とは思わない。
    自分を素人と思わない者は,学ぶ姿勢を持たない。道理を聴く耳をもたない。
    素人による政策づくりの常態化は,ひじょうに厄介な問題なのである。