Up 「重点的配分」という浪費 作成: 2009-06-10
更新: 2009-06-10


    母屋でおかゆをすすっているときに、離れですき焼きを食べている」とは,一般会計で赤字削減している隣で特別会計で浪費している,と批判した塩川正十郎 (当時財務大臣) のことば。 国立大学の「法人化」では「予算の重点的配分」が唱えられるが,これについて見ていかねばならないのが,この「特別会計」の問題である。

    万・十万円単位で研究費の削減,研究旅費の削減が指示される隣で,トップ裁量経費のプロジェクトでは,十万円単位の経費使用になる報告書に簡単に予算をつける。

    「法人化」の雰囲気に流されてしまい,「このプロジェクトについては,費用対効果比がどうなっているのか?」ときちんと問うスタンスが,忘れられてしまう。

    折しも,この度は「FD活動」が示され,このプロジェクトにけっこうな経費が投入されそうな趣きがあるが,教員養成の専門の立場から言えば,FDとはこのような形で実効するようなものではない。

    経費配分については,優先度の問題,費用対効果比の問題を閑却させないことが肝要である。 言えばあたりまえのことであるが,心掛けとして保ち続けることは,存外難しい。