Up 要 旨 作成: 2009-01-24
更新: 2009-01-24


    状況が「上昇」から「下降」に転じるとき,ひとは「下降」への順応を考えるよりは,自らは「下降」しまいとする行動──「下降」に抗う行動──をとろうとする。
    「下降」の力場 (force field) において「下降」に抵抗していまの位置を保つことは,普通のことをやっていてはできない。
    何をやり出すか?
    「破格」をやり出す。

    しかし,「破格」を一回やれば,これのつぎにまた「破格」をもってくるということはできない。 「破格」は,目先の一時しのぎにしかならない。

    しかも,「破格」は,「下降」の力場をさらに強めることに作用する。
    「破格」と「下降」は連鎖する。
    これを,デフレ・スパイラルという。

    デフレ・スパイラルは,システムの過剰の自壊を短時間に一挙に終わらせてしまうという意味では,合理的なメカニズム/プロセスになっている。 目的論的な言い方をすれば,システムは,過剰の自壊にデフレ・スパイラルを利用し,そしてこれを起こすために「破格」を誘うのである。

    しかし,システムの自壊のただ中にいる者は,傍観者的に「合理的」を言ってなどいられない。 過剰の自壊運動そのものは受け容れながら,これが酷い流れにならないよう対策することになる。
    そして,「破格」が酷い流れをつくる当のものであるから,「破格」を退けることがこの対策の要になる。

      災難に逢ふ時節には災難に逢ふがよく候。
      死ぬる時節には死ぬがよく候。
      是はこれ災難をのがるる妙法にて候。
                    (良寛)