Up 論理 :「犯罪者を産んだ者は謝罪する」 作成: 2009-03-05
更新: 2009-03-05


    Aが犯罪を起こした。
    このとき,犯罪者の親が謝罪する立場に立たされる。
    Aの犯罪が外国で起こした重大犯罪のときは,国が謝罪する立場に立たされる。
    Aの犯罪が自分の会社から無理なノルマを強いられたことに原因のあるときは,企業のトップが謝罪する立場に立たされる。

    以上は,社会通念になっている。
    そして,これらには「謝罪」の論理として通底するものがある。
    それは,「Aを産んだ者は謝罪する」である。

    Aを産んだ者は,なぜ謝罪するのか?
    つぎが論理になる:

      産まなかったらAは存在せず,したがって犯罪は起こらなかった。
      産んだから,犯罪が起こった。
      産んだ者が悪い。
      謝罪しろ。


    「産んだ者は謝罪」の論理は,Aが物で,犯罪が事故の場合にも,適用される。
    例えば,エレベータ事故では,エレベータを製造したところ,あるいはこれの設置工事をしたところが,謝罪する立場に立たされる。

    ただし,「産んだ者は謝罪」の論理の適用も,絶対ではない。
    結局は,功利的 (プラグマティック) に適用される。
    すなわち,つぎの認識が有利になる場合がある:

      このようなことで謝罪を求めることをしたら,人の生活が成り立たなくなる。
      お互いさま。


    さて,大学は「犯罪学生を産んだ者」か?
    そうではない。
    大学は,犯罪者を産むコースとか環境をつくってはいない。

    では,「謝罪」をする大学は,いったい何を謝罪しているのか?
    (つぎへ続く: モンスター論理 :「犯罪者の籍があるところは謝罪する」)