Up 「蔑視」の心理学 作成: 2011-11-22
更新: 2011-11-22


    「差別」問題のうちには,「蔑視」が要素になっているものがある。
    例えば,アメリカの「黒人差別」には「黒人蔑視」がある。
    一般に,「搾取」と一緒になった「人種差別」は,「蔑視」の形になる。

    「人種差別」の「蔑視」は,悪者のすることではないのか?
    そうはならない。
    自分が善人・正義の人のつもりでいることは,人種蔑視をすることと衝突しない。 実際,「蔑視」は,自分が善人・正義の人でいられるためにする行動様式なのである。
    どういうことか?

    人は,ロボットに過酷な仕事をさせて,虐待しているとは思わない。 相手がロボットだからである。 人ではないし,生き物でもないからである。
    人や生き物に過酷な仕事をさせるときは,良心が痛む。 ロボットには,<良心を痛めずに虐待できるもの>の意味がある。

    翻って,人を虐待して良心を痛めないで済むためには,相手を<人>以下にすればよいことになる。 これが,「蔑視」である。
    自分が相手を用いているのは,せめてもの<人>扱いであり,感謝されるくらいのものだ」の思考回路を自らつくり,善人・正義の人でいることを保つのである。