Up 「倫理」はバランスの問題 作成: 2011-02-11
更新: 2011-02-11


    組織が存在しているのは,ただ存在しているのではなく,生きることをやっているからである。
    いまの時代は,組織の「生きる」を「生き残る」と読み換える。 この読み換えにしたがえば,つぎのようになる:組織が存在しているのは,生き残ることをやっているからである。

    「生き残る」の意味は,「生存競争の敗者にならない」である。
    敗者にならないためには,きれい事など言ってられない。
    「きれい事」とは,倫理である。
    こうして,組織と倫理は相反する。

    一方,生存競争は,殺し合いではない。 敗者に退場してもらうゲームである。
    翻って,敗者が速やかに退場してくれないと,このゲームはなり立たない。
    そこで,敗者に速やかに退場してもらうための一定の倫理が必要になる。

    また,敗者にならないとは,自分の存在が社会から受け入れられるということである。
    そこで,社会に受け入れられるための一定の倫理が必要になる。

    このように,組織は,《倫理と相反しながらも倫理を保つ》の形を自らつくるものになっている。
    倫理とは,あるかないか,優れているか劣っているかではなく,バランス──組織全体でのプラス・マイナス──で考えることになるものである。