Up ズルの文化 作成: 2009-04-22
更新: 2009-04-22


    評価の制度を導入すれば,ひとは高い評価を得ようとして,仕事・学業にいっしょうけんめいになる。」──この考え方を,評価主義と謂う。 国立大学は,「法人化」で,評価主義を信条とするところとなった。

    しかし,評価主義の思惑は外れる。
    評価制度に対してひとが応じる形は,「仕事・学業にいっしょうけんめいになる」ではない。 「損しない手立てを講じる」「粉飾する」が,このときのひとの応じる形になる。
    こうして,評価主義がもたらすものは,きまって,<偽・ズル>の文化である。

    GPA・CAP では,学生の中から「学期途中での受講登録の取消」という行動が現れてくる。 すなわち,可をとることの困難/不可能が見えてきたとき,不可や低い点数をとらないために,受講登録を取り消してもらおうとする。 大学側も,これを GPA・CAP 運用の内容の一部というとらえで,受講登録取消の措置を制度化する。

    学生のこの行動は,ズルである。
    大学側の対応も,本末転倒である。
    しかし,制度というものは,必ず独り歩きするようになり,本末転倒を生む。 ひとは,この本末転倒に感覚麻痺する。──それ以前に,本末転倒の認識がそもそも持たれない。