Up 個を懲罰できないので,一律規制・全員指導 : 要旨 作成: 2014-12-25
更新: 2014-12-30


    いまの社会/時代は,組織・機関が員の懲罰ができない・憚られる社会/時代である。
    懲罰に対しては,個が「人権」を楯にして争うのがスタイルになっている。
    この争いは,懲罰した側にとって,コスト的に不利なプロセスになる。
    実際,法廷の争いになれば,人権侵害があったとなり,敗けることになる。,

    こうして,学生の事件は,大学にとって,ひどく面倒な問題になる。
    事件の処理は,ひどく面倒なプロセスになる。
    大学は,自ずと,学生事件を防ぐ方法,懲罰を避ける方法を考えることになる。


    学生事件を防ぐ方法として大学が択るものの一つは,「一律規制」である。
    大学だと,問題が起こりそうな場所・時間・行動について,禁止事項を増やしていく。
    ただしこれは,大学を息苦しい場に自ら変えていくことである。

    大学が択る方法のもう一つは,「学生を<事件を起こさない者>に導く指導」である。
    この指導は,だれそれに指導するというものにはならないから,全員指導である。
    「倫理・人権」科目は,このような流れから出てきたものである。
    学生を<事件を起こさない者>に導くために全員指導する──これを行うために特設される科目が,「倫理・人権」科目である。

    ただし,「倫理・人権」科目には,つぎの2つの機能も見込まれている:
    • 「全体説教」
      事件はどうしても起こる。
      このとき,懲罰ではないが組織として十分な対応をしたという形をつくる。
      それは,懲罰を「指導」に代えるというものである。そしてこれと併せて,だれにも起こり得ることとして,全体説教する。

    • 「弁明」
      事件が起きたとき,責任の問われ方の一つに,「普段からどんな指導をしているのだ!」がある。
      「倫理・人権」必修科目を開設していることは,この場合の弁明になる。