Up だれかとめてあげないと‥‥ 作成: 2008-02-18
更新: 2008-02-18


    国立大学の「法人化」の趣旨は,
      「国立大学は<グローバル企業経営>主義の民間企業を見習わねばならない」
    である。 そして,この見習う(=真似する) ことの一つに,「成果主義の導入」がある。

    真似には,時間差がでる。
    そして,この道の素人である国立大学は,「この道を進め!」と言われたら,一心不乱にその道を進み,現在「この道を進め!」の潮流がどうなっているかに眼が向かない
    世の中が「この道を進め!」から撤退している中で,独り黙々とその道を進む


    現在,経済界は,成果主義の導入から撤退している。
    「成果主義」が何であるかを,自らの失敗によって理解し始めている。

    一方,国立大学はまだ,「成果主義の導入」「成果主義の導入で他から先行」を自組織の生命線 (「生き残りの条件」) と思い込む段階にいる:

    2008-02-14,朝日新聞
    (http://www.asahi.com/national/update/0214/TKY200802140152.html)
    東北大, 「抜群教授」に特別手当 最高月20万円

     東北大学が新年度から,優れた業績をあげた現役教授を「抜群教授」に選び,月給を最高20万円上乗せする。国立大では初めての制度といい,学外から優秀な「頭脳」を獲得するとともにその流出を防ぎ,世界最高水準の大学を目指す。
     正式な称号は「ディスティングイッシュトプロフェッサー」。教育や研究,社会貢献などの業績がきわめて顕著で,将来も中心的な役割を果たすことが期待される教授を任命する。学内から推薦を受けた教授の中から,学外の有識者も含む選考委員会が選ぶ。
     初年度は学内の約800人の教授から3%にあたる25人を選び,月額10万円を基本に最高20万円の特別手当を支給する。東北大教授の年間の平均給与は1101万円(06年度)なので約1割(最高で約2割)の上乗せになる。任期は3年で再任も可能。
     優れた研究成果は所属大学の評価向上につながるため,法人化後の国立大では優秀な研究者の獲得競争が本格化している。東京大は1月,世界的物理学者である村山斉(ひとし)・米カリフォルニア大教授を総長より高給で招き,京都大は昨春,アポトーシス(細胞が自死する現象)の権威,長田重一・大阪大教授を引き抜いた。
     2年目以降の「抜群教授」の人数や給料の上乗せ額は1年目の結果をふまえて決める。東北大の北村幸久副学長は「世界最高水準の大学になるために,称号だけでなく給与という具体的な形を示して,質の高い教員を確保したい」と話している。


    成果主義は,「先ず<デコボコをつくる>ありき」:
      初年度は学内の約800人の教授から3%にあたる25人を選び

    成果主義とは,点数をとらせる試験問題をつくること (これだけのこと) である。
    そして,試験によい点数をとる方法は「傾向と対策」。
    成果主義のもとでは,「成果が点数になる仕事」が「仕事」の意味になるので,成果が点数にならない仕事がないがしろにされる。 これが,「成果主義は本業を壊す」の所以である。


    「抜群教授」のネーミングはいまの東北大のインテリジェンスを想わせくれて愉しいが,それにしてもだれかとめてあげないと‥‥

      この記事の別の応用法:「競争主義が横並びラインを押し上げる