Up はじめに 作成: 2008-12-12
更新: 2008-12-12


    「改革」バブル期の企業経営論では,「業績評価」が基本項目の一つになっている。
    「業績評価」は,「競争主義」「報奨/懲罰主義」「生き残り主義」とセットのものである。 これは,つぎの人間観・仕事観に立っている:

    • 競争・報奨/懲罰に曝されることで人は発奮し,よい仕事をするようになる。
      逆に,競争・報奨/懲罰に曝されないと,人は怠ける。
    • 人間には,意識の高い・低いの違いがある。
      意識の高い者は,危機意識を持って生き残りを考え,改革に努める。
      意識の低い者は,安穏と時間を過ごし,破滅していく。

    国立大学の「法人化」は,「改革」バブル期の企業経営論につく。
    そして,「業績評価」を制度にしていく。

    本論考は,この「業績評価」の含意・力学・構造を論じようとするものである。


    ちなみに,この論考は,もともとは『国立大学の「法人化」とは何か?』の一章として書かれてきた。 しかし,『国立大学の「法人化」とは何か?』という形の論考は,無理であることがわかってきた。 すなわち,内容に際限がないのである。

    国立大学の「法人化」は,これまでは「改革」バブルの局面を過ごしてきた。
    これの後には,「改革」バブルの後始末・尻拭いという局面が,長い期間続くことになる。 そしてこの間,またいろいろな論題が現れることになる。

    そこで,つぎの方法に転じることにした:
      『国立大学の「法人化」とは何か?』の要素的な主題のそれぞれについてこれを切り口にした小論をつくり,その中で『国立大学の「法人化」とは何か?』が示されるようにする。
    本論考は,この方法論でつくられようとする。