Up 中央指導と「強化された学長のリーダシップ」の関係 作成: 2006-09-17
更新: 2006-09-17


    国立大学の法人化を成功裡に実現せねばならない立場の文科省は,絶対実現のための大学における装置として「強化された学長のリーダシップ」を用いる。


    文科省は,国立大学の法人化を,すべての国立大学が同じ歩調で進む一斉プログラムとして行うことにした。これが,「中期計画・中期目標」という定型フォーマットを作成して国立大学に課すということである。

    しかし,課しただけでは不足である。大学の側で絶対に実行される──すなわち,現場でどんなに異議が起ころうとそれを押さえて強行される──必要がある。この「強行」の任にあたるのが,「強化された学長のリーダシップ」である。


    「強化された学長のリーダシップ」は,民間企業の経営トップを模して,「法人化後の大学が独自の取り組みを果敢に行うために必要」という理由づけをもって提唱されたものである。
    しかし,実際には,「国立大学の法人化」として大学が取り組む内容は文科省指導で細かく定められ,「強化された学長のリーダシップ」はこれの消化に汲々とするのみとなる。

    わたしは,こと文科省の「中央指導」の能力に関しては,ひじょうに優秀なものを感じる。

      ここでの要点は,<トップダウン定型プログラム>と大学側の<横並び指向>が,大学においてつぎの方向に作用したということである:
        《「課題の項目すべての受け入れ」の方針を選び,そしてこのことで,
         いっそう汲々とする立場に自らを追い込む。》
      これは,おそらく,日本人の体質/DNA とも深く関係しているのだろう。