Up 「ウェブベース・統一フォーム」の意味の無理解 作成: 2007-09-01
更新: 2007-09-01


    統一フォームシラバス強制の問題の根底には,「ウェブベース・統一フォーム」の意味の無理解がある。

    ウェブベースのシラバスシステムは,つぎの機能をもつものとしてつくられる:
      教員が,入力フォームにしたがって,シラバスのデータを入力すれば,
      閲覧ページが自動的に生成される。

    こうして作られたシステムは,入力および出力において,統一フォームになっている。 統一フォームは,目的ではなく,結果である
    ここが要点である。

    国立大学は,「専門の多様性」「個の多様性の解発 (release)」「自由」を原理とする。 シラバスシステムが目指すのは,この原理が実現されているシステムである。
    統一フォームタイプのシステムは,入門 (第一期) に過ぎない


    以上のことをよく理解していれば,ウェブベース・シラバスのシステムの利用を教員に促す文言は,つぎのようになる:

    • 本システムは,従来の紙メディアのシラバスに替わるものです。
      すなわち,学生はこれにアクセスして,授業科目のシラバスを参照することになります。
    • このシステムでは,教員が入力フォームにしたがってシラバスのデータを入力すると,自動的に学生閲覧用のページができあがるようになっています。
      どうぞご利用下さい。

    教員はこの文言から,このシステムが学生にとっての「シラバス・ゲートウェイ」であることを理解し,「自分はこれをどのように活用したらよいか」と考えることになる。
    ここから先は,教員の裁量の領域である。
    先の案内者が,教員に対して言えることは,「ご利用下さい」であって,「このフォームに寸部違わず合わせてください」ではない。 まして,『シラバスの点検・修正に関する依頼 (教員用)』(教育研究委員会, 2007-07-25) のようにではない。


    統一フォームシラバスの強制 (シラバスの検閲) に及ぶとは,どういうことか?
    強制の執行者が,このシラバスを完結したものと捉えているということだ。

    事務をはじめ多くは,このように考えやすい。 なぜなら,これが,従来の紙のシラバスで見慣れている形であるからだ。
    特に,事務の場合,これが従来型を改めなくて済む形。 (「ウェブページをプリントアウトして従来型書類に」ができる。) ──したがって,事務にとっては,統一フォームシラバスの強制をやってくれる方が,ありがたいのかも知れない。