Up 「書き換え」の方法の問題点 作成: 2010-04-04
更新: 2010-04-04


    名称変更は,20xx年度の1年間を移行期間として,つぎの方法で実現されるものとする:

      「算数グループ」の名前が現れる個々のケースで,「算数グループ」をつぎのものに替える:
        「数学グループ (算数グループ)」
        あるいは
        「算数グループ (平成23年度からは,数学グループ)」

    この方法は,書き換えが「依頼」の形になる場合は,すんなりとはいかない。
    すなわち,書き換えを依頼された側が,つぎのようになる:

      書き換えてよいのか?
      書き換えてよいことが,何によって保証されるのか?

    つまり,被依頼者が,「名称変更は数学教育講座の裁量に属する」を受け入れようとしないということである。


    「名称変更は,数学教育講座の裁量に属する」が書かれている規程はない。 そこで,被依頼者は,つぎの考えへ進むかも知れない:

      名称変更が数学教育講座の裁量に属さないことを示す文書が,あるのでは?」のスタンスに立って,それの有無を確かめねばならない。

    そこで,被依頼者を煩わせないために,数学教育講座の方で「それはしなくてもだいじょうぶ」の論を示すことが必要になる。 ただし,これが被依頼者を安心させる論になるかどうかということは,以下述べるように,別問題である。

    それはしなくてもだいじょうぶ」の言い方は,どのようになるか?
    つぎのようになるのみである:
      名称変更が数学教育講座の裁量に属さないことを示す文書は,これまで見ていない。
    そしてこの言い方は,被依頼者をあまり満足させないだろう。


    さらに,問題はつぎのように進む:
      名称変更が数学教育講座の裁量に属さないことを示す文書」とは何か?

    実際,名称変更の作業とは,「算数グループ」の名称が現れるところで逐一「数学グループ」に替えるということである。 そして,その場面は,特に文書である。
    よって,「文書」のカテゴリーが定められねばならない。
    そして,どんな文言が「名称変更が数学教育講座の裁量に属さない」を含意するものとなるかが,定められねばならない。

    名称変更では,学生便覧や札幌校案内の中の「算数グループ」が「数学グループ」になる。 「名称変更」が自己撞着でないならば,これらは「名称変更が数学教育講座の裁量に属さない」を含意する文書ではない。

    大学の事務局が示す「規則集」にある文書で「算数グループ」があるのは,つぎのものが唯一である:

      10 各校
        札幌校
          北海道教育大学教育学部札幌校委員会規則
            備考 この表における用語の意義は,次の各号のとおりとする。‥‥
            (3) 基礎学習開発専攻の各グループ 国語グループ,社会グループ,算数グループ,理科グループ及び英語グループをいう。

    これは委員会規則であるから,グループの名称はここから発しているのではない。 この規則は,グループ名を他の何かに依拠している。そして,その「他の何か」は存在しない。
    グループ名は,法規的にではなく,プラグマティックに存るということである。

    本論考は,ここを以て「溯行のブレイクダウン」とする。