Up 仁義論の構造 作成: 2010-04-04
更新: 2010-04-04


    組織は,いろいろなルーティンワークをもつ。 このルーティンワークを効率化するために,組織は「号令と成果回収」のトリー構造を導入し,自分をこの形に合わせていく。

    トリー構造の各ノードは,それの下位ノードに対する「長」と位置付けられる。
    「長」の意味は,これ以上でも以下でもない。

    しかし,「号令と成果回収」のトリー構造は,組織の力学によって,権威のトリー構造に変質していく。
    各ノードは,長には「偉い」存在として対することを自らに課す。 長は,自分の下位ノードに対して「偉い」存在として振る舞うことを自らに課す。
    これは,最初はロールプレイであるが,だんだんと本気になる。
    特に長の場合は,「自分の傘下の行動は,自分が承諾したものでなければならない」という考え方をするようになる。

    これが,仁義論の舞台になる。
    すなわち,一つのノード (組織のあるセクション) が,ある目的行動を独自に開始した。 このことを,これの長が知る。 そして,「わたしに断りもなく,勝手に始めた!」「他のメンバーにも仁義を切っておくのがスジだ!」になる。


    権威主義の強い組織の場合には,ここからつぎのようになる:
      長の逆鱗に触れ,
      そのセクションはおそれをなして目的行動を引っ込める。
    実際,これはよくあるケースである。

    そこで,このような組織では,目的行動を開始するときは,長の承諾を最初にとるということをする。
    他のメンバーにも適当に仁義を切るということをする。
    また,長を異にする他のノードとの関わりが目的行動において見込まれているときには,そのノードの長にも根回しをする。