Up 根回しするとは,「異論は不要」とすること 作成: 2010-04-04
更新: 2010-04-04


    根回しの意味は,異論が出ないようにすることである。
    根回しをしようとする者は,つぎのように考えているわけである:
      異論が出てくることは,自分にとって不利
      異論が出ないことが,自分にとってよいこと

    このような考え方になるのは,どんな場合か?
    つぎの2通りがある:
    1. 自分が行うことは,正しい。しかし,もののわからん連中は,なんだかんだと異論を言ってくる。目的達成のために,異論の出そうなところを封じておかねばならない。
    2. 是非は関係なく,目的達成の形をつくらねばならない。達成しないと,自分は窮地に立つ。

    B は組織の私物化であり,国立大学のような公的機関の場合は犯罪である。 よって,ここでは論外とする。

    A の場合は,「異論」の意味がわかっていないことになる。
    自分が何かを考えるときは,必ずあちこちで思考停止している。 この思考停止は,自分では気づかない。 そして目的行動の失敗は,多くがこの思考停止に因る。

    そこで,目的行動を起こすときは,必ず,異論を呼び込む形をつくる。
    わざわざ異論を呼び込もうとするわけである。

     註1. 「パブリックコメント」は,儀式化していたり,専らアリバイづくりのように使われているのが現実であるが,理念はここに述べたものである。
      2. 自分を買いかぶらないというのは,自由主義思想の根幹である。 自分を正しいと思う者,自分を相対化して考えない者は,必ず,ろくなことをしない。 「中央指導 (トップダウン)」のイデオロギーを自由主義が退けるのは,この認識からである。