Up 「算数グループ」の名称の「効果」 作成: 2010-03-25
更新: 2010-04-01


    「法人化」としての北海道教育大学再編で,札幌校の教員養成課程は,ぼんやりした小学校教員養成課程というふうにつくりかえられた。 そしてこの中で,数学教育コースを「算数グループ」にした。

    「算数グループ」の名称は,機能する。
    どういうことが起こるか?
    学生がこのコースに入ろうとするときは,算数のコースだと思って入る。
    これは,つぎのように思ってこのコースに入るということである:

      算数は自分は既に卒業しているので,このコースでは算数の教え方を習うのだろう。
      算数の教え方を勉強するコースということで,このコースに入ったのだ。そうでないのなら,最初からこのコースには入っていない。

    ところが,このコースでは,専門数学の勉強が課される。
    また,中学校数学の教員免許取得が,課される。
    ( 数学教員養成コースとは?)

    学生の方は,「数学は要らない」と思ってこのコース/大学に入ってくるわけであり,高校での数学の授業選択の仕方も勉強の密度も「文化系」モードでやってきている。
    専門数学の授業は,困難になる。
    忍耐の苦手な学生は,容易にギブアップ,ドロップアウトする。
    こうして,数学教育コースには入っているが,専門数学の授業をほとんどとらず,中学校数学科教育法の授業からも早々と脱ける学生が,出てくる。

    この一方で,「算数グループ」の名称は,誤解形成の実を着々と上げる。
    札幌校に入ってくる学生は,「算数グループ」では専門数学を勉強することになるのを知らない。 教員免許は小・中あわせて持つことが教育現場から求められているということを知らない。 まったく準備のない状態で,教員養成大学札幌校を選び,専攻教科を選んでいる。 そして,実際の授業になると,あてが外れたみたいになる。
    「算数グループ」の名称が浸透すればするほど,学生のコース不適応傾向が強まっていく。

    こういうわけで,専攻名のもつアナウンス効果・影響については,ほんとうに重く考えねばならない。