Up 人を育てない・人が育たない組織に 作成: 2011-07-20
更新: 2011-07-20


    <人の能力>の考え方には,つぎの2極がある:
    1. 「人には有能・無能がある」
    2. 「十年同じことをやっていれば,それのプロになる」

    むかし人件費の安かった時代,《大量雇用をやって,つぶしにかける》を有能な人材を得る方法にした企業があったとさ。 生き残った者 (ノイローゼにならなかった者) が有能な人材である。 これは,Aモデルに立っていることになる。
    一方,ぜいたくが言えない中小の町工場は,モデルBに立って,人を育てる。

    大学教員は,大学で育つ。大学で育って大学教員になる。 (採用されて大学教員になるのではない。)
    この<育つ>を大きく見るか小さく見るかで,「任期」の考え方が違ってくる。 任期制は<育つ>を (小さく見るをさらに越えて) 無いものにする。 任期制は,A モデルである。

    国立大学は「法人化」で,大学の研究・教育観を大転換することになった。 要するに,商業主義になったわけである。
    これが自分の育つ環境となった世代には,従来型の大学観は形成されない。 またこの環境は一定の指導環境というものでもないので,新しい大学観の形成というふうにもならない。 彼らは,個々バラバラな育ち方・大学観を身を以て現す。
    「大学教員は大学で育つ」とは,こういったことである。