Up <障壁=防壁>のインタフェース設計 作成: 2006-03-12
更新: 2006-08-26


    中央指導体制のトリー構造は,ボトムアップ構造と見るときは,<障壁=防壁>のインタフェースの組み上げというように解釈することもできる。 ──タイプの異なるインタフェースをうまく組み合わせることによって,ボトムアップを都合のいいように調整できる。


    「インタフェース」は,システム論での基本的な主題の一つ。

    システムは,様々な相を見せる。この相の一つに,「サーバ - クライアント」がある。
    サーバとクライアントの界面は,「インタフェース」と呼ばれる。
    インタフェースの機能的意義は,クライアントの要求とサーバの処理の調整にある。


    インタフェースに求められるものは,必ずしも「クライアントにとって使い勝手がよい」ではない。その逆もあり得る。

    実際,サーバ側は,クライアントの要求に関してつぎの形の問題をもつ:

    • 要求内容が,サーバの処理能力を越える
    • 要求内容が,サーバに不都合

    これの対策として,一つに,要求内容の細かな「フィルタリングと変調」を的確に行えるインタフェースの導入がある。しかしこれはコストがかかる。そこでもう一つの (単純な) 手が有効になる。すなわち,スペック(仕様) の低いインタフェースの導入によって「クライアントの要求内容を抑制・制限する」。

    IT分野では,機能のシフトを「インテリジェント」「ノン・インテリジェント」の用語で表現する。これに倣えば,いま述べたことはつぎのようになる:

      インテリジェント・タイプのインタフェースは,コスト高だったりサーバと齟齬をきたしたりするので,ノンインテリジェント・タイプのインタフェースを用いる。


    ノンインテリジェント・タイプのインタフェースは,クライアント側からは「障壁」であり,まことに迷惑であるが,サーバ側からは「防壁」である。
    クライアントはノンインテリジェントなインタフェースをサーバ側の無能/無策と見る傾向があるが,つぎのことに留意する必要がある:

      ノンインテリジェントなインタフェースは,ある場合にはまさにサーバ側の目論見 (思慮された配剤) である。