http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/sonota/001/05020101.htm

国立大学法人及び大学共同利用機関法人の
各年度終了時の評価に係る実施要領
平成16年10月25日
国立大学法人評価委員会決定

 各年度終了時の評価についての検討の前提

(1) 国立大学法人制度は、大学の教育研究に対する国民の要請に応えるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図ることを目的とするものである。この目的を果たすため、国立大学法人及び大学共同利用機関法人(以下、「国立大学法人等」という。)は、中期目標・中期計画に沿って自主的に法人運営を行い、国立大学法人評価委員会が教育研究の特性に配慮して事後にその状況を評価することとしている。
 これらを踏まえ、この評価は、教育研究の特性や大学運営の自主性・自律性に配慮しつつ、国立大学法人等の継続的な質的向上に資するものでなければならない。また、評価に関する一連の過程を通じて、国立大学法人等の状況を分かりやすく示し、社会への説明責任を果たしていくものでなければならない。一方で、評価に関する作業が国立大学法人等の過重な負担とならないように留意する必要がある。

(2) 中期目標期間終了時においては、教育研究の状況や、業務運営・財務内容の状況等について、各国立大学法人等が掲げた中期目標の達成状況の評価を行う。このうち、教育研究の状況については、その特性に配慮して、大学評価・学位授与機構に評価の実施を要請し、その結果を尊重する。なお、この評価により、各国立大学法人等が自主的に行う組織・業務全般の見直しや、次期の中期目標・中期計画の検討に資するものとなるよう留意する。また、評価結果を次期の中期目標期間における運営費交付金の算定に反映することができるものとなるよう留意する。
 なお、中期目標期間終了時の評価の在り方については、各年度終了時の評価の結果等も踏まえて、大学評価・学位授与機構と連携を図りつつ、今後更に検討を進めていくこととするが、この評価においては、法人化を契機としていかに各国立大学法人等の改革と新生が図られたかという視点が重要である。具体的には、(1) 個性豊かな大学、国際的にも存在感のある大学を目指して教育研究活動等が積極的に展開されていること、(2) 学長のリーダーシップの下、機動的・戦略的な大学運営が実現されていること、(3) 国民や社会に対する説明責任を重視した、社会に開かれた大学運営が行われていること、等を積極的に評価することが考えられる。

(3) 各年度終了時においては、中期目標を実現するために、各国立大学法人等が自主的に行う業務運営の改善・充実に資するよう、各年度における中期計画の実施状況について評価を行う。なお、中期目標期間終了時の評価と異なり、教育研究の状況については、その特性に配慮し、大学評価・学位授与機構における評価を実施しないものであり、したがって、専門的な観点からの評価は行わない。

(4) 評価は、各国立大学法人等の自己点検・評価に基づいて行うことを基本とする。国立大学法人評価委員会は、各法人が実績報告書に記載した中期目標・中期計画の達成状況に基づいて評価を行う。

 各年度終了時の評価の基本方針

(1) 各年度終了時の評価においては、主として中期目標達成に向けた事業の進行状況を確認する観点から行い、これを通じて中期目標期間中の法人の業務運営、予算、人事等の改善・充実が適切に進められるよう留意する。また、各年度終了時の評価の積み重ねが、中期目標期間終了時における各国立大学法人等の自主的な組織や業務全般の見直しの基礎になることにも留意する。

(2) 今後の国立大学法人等においては、法人化を契機として機動的・戦略的な大学運営の実現を図っていくことが重要であり、(1) 法人の経営が各法人の裁量に委ねられていることを踏まえ、学内の資源配分を戦略的に見直し、機動的に決定、実行し得るよう、学内体制の整備を図ることや、(2) 学内コンセンサスの確保に留意しつつも、全学的な視点に立ったトップダウンによる意思決定の仕組みを確立するなど、それに向けた各国立大学法人等の取り組みを積極的に支援する観点から、評価においては財務、組織・人事管理等の業務運営に関する取り組み状況を分かりやすく示すものとする。

(3) 各年度終了時の評価の際、国立大学法人等の取り組みを社会に積極的にアピールすることや、法人全体の改善・充実を図る観点から、以下の事項を考慮するものとする。
(1)  教育研究の高度化、個性豊かな大学づくり、大学運営の活性化などを目指した各国立大学法人等における特色ある取り組みを積極的に評価するものとする。
(2)  各国立大学法人等の置かれている状況や条件等を踏まえた、法人運営や教育研究活動を円滑に進めるための様々な工夫についても積極的に評価するものとする。
(3)  各国立大学法人等の更なる発展のため、必要に応じ、各法人の自主的な中期目標・中期計画の見直しの検討に資するようなものとする。
(4)  中期目標の達成に向けて支障が生じている(あるいは生じるおそれがある)場合には、その理由(外的要因を含む)についても明らかになるようなものとする。
(5)  その他、各国立大学法人等を取り巻く諸事情を考慮する。

 各年度終了時の評価方法
 各年度における中期計画の各事項の進行状況を確認するとともに(項目別評価)、その結果等を踏まえつつ、各国立大学法人等の特性に配慮して中期計画の進行状況全体について総合的な評価(全体評価)を行う。

(1) 項目別評価
(1)  業務運営・財務内容等の状況
(「業務運営の改善及び効率化」、「財務内容の改善」、「自己点検・評価及び情報提供」、「その他業務運営に関する重要事項(施設設備の整備・活用安全管理、等)」の4項目)

ア. 国立大学法人等による自己評価
i)  各国立大学法人等は、実績報告書において年度計画の記載事項ごとに以下の4種類によりその進行状況を示すとともに、そのように判断した理由を記載する。

「年度計画を上回って実施している」(IV)
「年度計画を順調に実施している」(III)
「年度計画を十分に実施できていない」(II)
「年度計画を実施していない」(I)
 年度評価は、中期計画の実施状況を調査・分析するものであるが、中期計画を各年度どの程度実施するかは、年度計画に示されるものであることから、一義的には年度計画の実施状況で判断する。

ii)  各項目ごとの「特記事項」の欄において、
1)  法人化のメリットを活用し、大学運営の活性化などを目指した、財政、組織、人事などの面での特色ある取り組み
2)  各国立大学法人等の置かれている状況や条件等を踏まえた、大学運営を円滑に進めるための様々な工夫
3)  自己点検・評価の過程で、中期目標・中期計画を変更する必要がある、あるいは、変更について検討する必要があると考えられる場合は、その状況
4)  中期目標の達成に向けて支障が生じている(あるいは生じるおそれがある)場合には、その状況、理由(外的要因を含む)
などについて自由に記載することができる。

イ. 国立大学法人評価委員会による検証
 年度計画の記載事項ごとに、自己評価や計画設定の妥当性も含めて総合的に検証する。国立大学法人等による自己評価と国立大学法人評価委員会の判断が異なる場合は、その理由等を示す。

ウ. 国立大学法人評価委員会による評定
 イの検証を踏まえるとともに、特記事項等も勘案し、4つの大項目ごとに計画の進行状況を示す。また、特筆すべき点や遅れている点についてコメントを付す。
 進行状況は、以下の5種類により示す。なお、これらの水準は、基本的には各国立大学法人等の設定した計画に対するものであり、相対比較することは意味を持たないことに留意する。
 「特筆すべき進行状況にある」(評価委員会が特に認める場合)
 「計画通り進んでいる」(すべてIVまたはIII)
 「おおむね計画通り進んでいる」(IVまたはIIIの割合が9割以上)
 「やや遅れている」(IVまたはIIIの割合が9割未満)
 「重大な改善事項がある」(評価委員会が特に認める場合)

 上記の判断基準については、計画の進行状況を示す際の目安であり、各国立大学法人等を取り巻く諸事情を勘案し、総合的に判断するものとする。
 また、各国立大学法人等は、項目内の各記載事項について、項目内における重要性等を勘案してウェイト付けを行うことができる。国立大学法人評価委員会においては、ウェイト付けを行った後の割合により判断する。

(2)  教育研究の状況(「教育研究等の質の向上」の項目)
ア. 国立大学法人等による自己点検
 各国立大学法人等は、実績報告書に年度計画の記載事項ごとに、当該計画に係る事業の外形的、客観的な進行状況等を記述式により記載する。
 また、この項目の「特記事項」の欄において、
i)  教育研究の高度化、個性豊かな大学づくりなどを目指した、教育研究活動面における特色ある取り組み
ii)  各国立大学法人等の置かれている状況や条件等を踏まえた、教育研究活動を円滑に進めるための様々な工夫
iiI)  自己点検・評価の過程で、中期目標・中期計画を変更する必要がある、あるいは、変更について検討する必要があると考えられる場合は、その状況 
iv)  中期目標の達成に向けて支障が生じている(あるいは生じるお それがある)場合には、その状況、理由(外的要因を含む)
などについて自由に記載することができる。

イ. 国立大学法人評価委員会による事業の進行状況の確認
 各国立大学法人等の特性等を踏まえ、事業の進行状況を確認し、特筆すべき点や遅れている点についてコメントを付す。

(2) 全体評価
 項目別評価の結果等を踏まえつつ、各国立大学法人等の特性に配慮して法人の中期計画の進行状況全体について、記述式により評価する。
 その際、学長のリーダーシップの下、機動的・戦略的な大学運営を目指した取り組みや、国民や社会に対する説明責任を重視した社会に開かれた大学運営を目指した取り組み等について積極的に評価する。

 各年度終了時の評価のスケジュール
(1) 6月末まで   各国立大学法人等は実績報告書(自己点検・評価書)を提出
(2) 7月〜8月   評価チームによる実績報告書の調査・分析
(3) 8月末   評価(案)の策定
(4) 9月   評価(案)に対する意見申し立ての機会の付与
(5) 9月末   国立大学法人評価委員会総会を開催し、評価結果を決定

 評価の実施体制
 国立大学法人評価委員会各分科会の下に評価チームを設け、実績報告書を 調査・分析し、評価書の原案を作成する。

 その他
 本基本方針を踏まえつつ、具体的な評価方法等については各分科会において必要に応じ修正を加えるものとする。
 また、本基本方針については、各事業年度評価の実施結果等を踏まえ、不断に見直し・改善を図るものとする。特に、初年度は、各国立大学法人等を取り巻く諸事情に十分配慮し、また、2年度目以降は前年度までの評価結果を踏まえ、国立大学法人評価委員会としての評価の視点等を適宜加味していくものとする。


(高等教育局高等教育企画課)