Up 『中期財政指針(案)』の書き方 作成: 2006-05-26
更新: 2006-05-26


    『中期財政指針(案)』は (実務書類は何でもそうだが)「内容がきちんとわかるように伝えるには,どういう形をとればよいか」と考えて作成する。

    「内容がきちんとわかるように伝えるには,どういう形をとればよいか」を考えるのは,教育大学の十八番 (おはこ) であるはず。
    基本として教えられるのは,つぎの形:

    1. What (何をする)
        「<非従来型経費の○○億○千万円>と<運営費交付金収入減分の○億○千万円>の和の額を,(1) 従来型経費のこれこれを削り,また (2) これこれの収入増措置を行って,捻出する。」

          非従来型経費:「歳出構造の転換」「重点課題への資源投入」

    2. Why (なぜこれをする)
        「このような理由により上記の財政措置が必要であり,そしてこのような理由によりこの措置は合理的である。」


    さて,『中期財政指針(案)』では,<非従来型経費の○○億○千万円>がまったくのブラックボックス。 ──これの明細を示すことをしなければ,「Why」の議論にのらない。そして,Why に進むことができなければ,『中期財政指針(案)』に対して良いも悪いも言えない。(至極アタリマエ!)

      また,「非従来型経費」は経費区分をまたがって分散している。分散しているものを集めて一括りに示すようにしなければ,相手に伝わるものではない。


    『中期財政指針(案)』の欠落部分 (「北海道教育大学中期財政指針」参照) を,わかりやすいように,表の形で示しておこう:
内容説明 理由説明
非従来型経費
(「歳出構造の転換」
 「重点課題への資源投入」)
内訳(明細)/説明なし 具体性なし
非従来型経費
充て措置
従来型経費
の削減
人件費削減,
管理的経費削減/抑制
の内容が示されている
合理性の考察
(削減の影響/被害
の計算を含む)
がない
施設整備費充て
外部収入
内訳(明細)/説明なし  

    ここでしっかり押さえておくべきは,つぎのこと:
      削減内容だけきっちり打ち出されていて,削減の理由になっている「歳出構造の転換」「重点課題への資源投入」の内容の方は全く伏せられている