Up 「在り方懇報告」準拠 作成: 2005-11-20
更新: 2005-11-20


    国立大学法人化の意義は,端的に,財政/行政改革であった。主眼は,国立大学群ないし大学内の学部のリストラであった。
    これに対し,当時の文部省が,(総務省ペースでリストラが進められることへの対抗として) 国立大学法人化の理由付けを独自に行い,自分の存在理由を示そうとした。

    特に,教員養成系大学・学部に対しては,「今後の国立の教員養成系大学学部の在り方に関する懇談会 (在り方懇)」を立ちあげ (2000-08-28 第1回会議),2001年11月22日に「今後の国立の教員養成系大学・学部の在り方について (報告)」 (以下「在り方懇報告」) を出した。
    「在り方懇報告」は,競争原理の中で国立大学が生き残っていくための智恵/テクニックを授けようというもので,いわばマニュアルである。そして,智恵/テクニックを網羅的に挙げるというスタイルをとった。

    これらの動きに並行して,国立大学法人を評価する機関の設立の準備が進められた。
    そしてこの過程で,「在り方懇報告」に対する「評価をパスするためのマニュアル」のような位置づけが定着した。

    その後,リストラの方は寛容 (うやむや状態) になって,「大学評価」が残った。
    そして,主体性・理念の乏しい大学が,「在り方懇報告」準拠の点取り主義に奔走し出した。


    「在り方懇報告」は,大学の構造に関する議論とともに,装飾レベルの項目が網羅的に挙げられている。これらの正しい読み方/受け取り方は,自分の大学の資源に照らして,行うのがよいと思うものを (優先順序をつけながら) 取捨選択的に考えることだ。
    ところが,なんでもかんでもやらなければと受け取るのが,点取り主義。 やる意味のないもの/できもしないことも目標リストに記し,実現段階になって往生する。