Up (1) 学部の沿革  


国立の教員養成大学・学部(以下「教員養成学部」という。)は、昭和24年の新制大学発足と同時に、開放制の教員養成(特定学部だけでなく、一般学部でも一定の要件を満たし、課程認定を受けることにより、教員免許状を付与することができる制度)の下、「各都道府県には必ず教養および教職に関する学部もしくは部を置く」という方針(国立大学設置の11原則)に基づき、学芸大学・学部26、教育学部20で発足した。このうち、学芸学部は教養教育と教員養成の目的を併せ持つ学部として設置されたものである。

専門職業としての教員に求められる高い資質の育成と計画的な教員養成の必要性等から、昭和33年には中央教育審議会から、各都道府県に教員養成を目的とする教育大学・教育学部を設けるという趣旨の答申が行われ、昭和41年度と42年度にかけて、すべての学芸学部が教育学部に改組された。

昭和41年度から55年度にかけて、教員養成学部において、当時のいわゆるベビー・ブームに伴う児童生徒の急増への対応等として、小学校教員養成課程の約2,100人の増を含め、約5,100人の入学定員の増が行われた。

さらに、教員養成学部の教育研究体制の充実を図るため、教科教育の分野を中心に教員の計画的な整備を行うなど、昭和41年度から55年度にかけて教員定員約1,200人の増員が図られた。

昭和53年度から56年度にかけて、主として大学院における現職教員の研鑽を目的とする、いわゆる新教育大学が3大学設置された。これらの大学は大学院に重点を置いた大学であるが、学部教育における実践的な教員の養成のためのカリキュラム開発等を目的として、学校教育学部が置かれた。

教員就職率の低下に伴い、昭和62年度から教員養成課程の一部を、教員以外の職業分野の人材や高い教養と柔軟な思考力を身につけた人材を養成することを目的とした課程(以下「新課程」という。)への改組が行われた。その結果、昭和61年度には約2万人であった教員養成課程の入学定員が、平成9年度には約1万5千人に縮小された。その一方で新課程が拡大し、現在48学部のうち44の学部に設置されている。これにより、教員の目的養成という教員養成学部の性格や教員組織の在り方等に新たな課題を提起することとなった。

平成4年度には、神戸大学において教育学部を教員養成を目的としない学部である発達科学部への改組が行われた。また、平成8年度に佐賀大学において教育学部を文化教育学部に改組したのをはじめとして、9大学において教育学部を複合名称の学部に改組している。ただし、これらの9学部は教員養成を目的としない学部になったわけではなく、教員養成課程を置いているのが特徴である。また、平成12年度には広島大学において、昭和53年度に分離した教育学部と学校教育学部を再び統合し、教育の理論と実践の結合を目的とする新たな教育学部への改組が行われている。

少子化の影響を受け、教員養成課程の一部を新課程に改組した後も、教員養成学部卒業者の教員就職率が年々減少してきたため、平成10年度から12年度までの3年間に教員養成課程全体の入学定員が約5千人削減され、現在、約1万人となっている。

平成10年に、現在の学校現場の状況にかんがみ、今まで以上に教員としての使命感を持ち、教員にふさわしい人材を養成するため、教職に関する科目の修得単位数の充実や選択履修方式を導入することを目的として、教育職員免許法(以下「免許法」という。)の改正が行われた。