Up (2) 大学院の沿革  


教員養成学部の大学院は、他学部に比べ発足が遅く、昭和41年度に東京学芸大学にはじめて修士課程が設置された。

昭和53年度から56年度にかけて、主として現職教員に対し、学校現場における具体的な課題に対応できる高度で実践的な能力を身につけさせるため、地方公共団体からの派遣による現職教員を大学院修士課程に受け入れることを目的として、いわゆる新教育大学が3大学設置された。

昭和63年に免許法が改正され、修士課程において深い研鑽を積み、特定の分野についてより高度の資質能力を備えた者を教育界に迎え入れるとともに、現職教員の研修意欲を促進することを目的として、それまで修士課程修了レベルの免許状(当時は「一級免許状」)は高等学校だけであったものを、すべての学校種に拡大し、新たに専修免許状が設けられた。

東京学芸大学に修士課程が設置されて以来、いくつかの教員養成学部に修士課程が設置されてきたが、専修免許制度の創設や現職教員の再教育のニーズの高まりを受けて、平成元年度以降、各教員養成学部における修士課程の整備が急速に進み、平成8年度にはすべてに設置されるに至った。

これまで教員養成学部の教科専門を担当する教員の多くは、他の一般学部の出身者で占められていたが、教員養成学部自ら各教科の専門や教科教育学の分野における実践的かつ高度の研究能力を有し、将来教員養成学部の教員となる人材を養成することなどを目的として、平成8年度に東京学芸大学及び兵庫教育大学に連合大学院方式による博士課程が設置された。

教員養成学部の修士課程は、現職教員の資質の向上のための再教育を行うという目的を併せ持っていることが特徴であり、現在、すべての修士課程で地方公共団体の派遣制度に基づく現職教員を受け入れている。また、このため多くの修士課程で大学院設置基準第14条に基づく教育方法の特例を実施しているが、この他にも職務に従事しつつ学ぶ現職教員のために、専ら夜間において教育を行う大学院も増加してきている。

以上のような変遷をたどり、現在、11の単科大学と37の総合大学の学部を合わせて48の教員養成学部が、すべての都道府県に設置されている。教員養成学部は、開放制の教員養成の中で、教員養成を目的に教育研究活動を展開する専門学部(目的養成)として、義務教育諸学校とりわけ小学校教員の計画的な養成の役割を担い、これまで我が国の教育界において、中心的な役割を果たす教員を多数輩出するとともに、現職教員の再教育の機会の提供に大きく貢献してきている。